1. 企業概要
- 社名: 日本電気株式会社(NEC Corporation)
- 設立年: 1899年(明治32年)
- 本社所在地: 東京都港区芝五丁目7番1号
- 業界: 情報通信・ICT・社会インフラ
- 主要サービス: システムインテグレーション、クラウドサービス、AI・生体認証、通信インフラ、セキュリティソリューション
- グローバル展開: アジア、欧州、北米、南米など約50か国以上に拠点
- 上場: 東京証券取引所プライム市場(証券コード:6701)
2. ミッション & ビジョン
- ミッション: 「よりよい社会の実現に貢献する 情報とコミュニケーションの力で」
- ビジョン: セーフティ、セキュリティ、持続可能性を軸とした“社会価値創造型企業”を目指す
- コアバリュー: オープンイノベーション、品質重視、共創、ダイバーシティ、社会貢献
3. 会社沿革
- 1899年: ウエスタン・エレクトリックと合弁で創業、日本初の外国資本との合弁企業
- 1950年代: コンピューター事業に参入(NEC 1101)
- 1980年代: パソコン「PC-9801」シリーズで日本市場を席巻
- 2000年代: 通信・ITの統合ソリューションに注力
- 2020年代: DX、スマートシティ、生体認証など先端分野へシフト
4. 経営陣および従業員情報
5. ビジネスセグメント
- パブリック事業: 官公庁、自治体、教育、医療向けICTソリューション
- エンタープライズ事業: 金融・製造・流通など向けのITサービス、ERP、AI
- ネットワークサービス事業: 通信事業者向けネットワーク機器、5G基盤、光通信技術
- グローバル事業: 海外政府向けICT、防災システム、監視ソリューション、NEC Xなど
- プラットフォーム事業: サーバー、ストレージ、ソフトウェア、クラウド基盤
6. 競争環境分析
7. 技術およびイノベーション戦略
- 注力技術: 生体認証(顔・虹彩・指紋)、AI解析、量子コンピューティング、5G/6G通信
- 研究体制: NECイノベーション研究所、海外ラボ(ヨーロッパ・北米)との連携
- 協業: スマートシティ分野でのマイクロソフト、AWSなどとのパートナーシップ
- デジタル化: クラウドネイティブ、ゼロトラストセキュリティ、データドリブン経営
8. リスク分析
- サイバーセキュリティリスク: システム侵害、情報漏洩の脅威への対応
- 地政学的リスク: 海外展開先での政治・経済不安要因
- 技術変化のリスク: AIや次世代通信技術の進展に対する継続的な適応
- 労務リスク: 人材不足、ハイブリッドワークへの対応と組織文化の維持
9. 昨年の実績(2023年度)
- 売上高: 3兆3,640億円(前年比 +5.7%)
- 営業利益: 2,510億円(前年比 +7.1%)
- 純利益: 1,750億円(前年比 +9.3%)
- 営業利益率: 7.5%
- 純利益率: 5.2%
- 主な要因:
10. 主要財務指標(四半期別・2023年度)
四半期 | 売上高(億円) | 純利益(億円) | ROE | ROA | 売上成長率 | 純利益成長率 |
---|---|---|---|---|---|---|
Q1 | 7,950 | 390 | 8.2% | 3.5% | +5.0% | +6.3% |
Q2 | 8,450 | 420 | 8.4% | 3.7% | +5.8% | +8.1% |
Q3 | 8,710 | 450 | 8.5% | 3.8% | +6.1% | +9.5% |
Q4 | 8,530 | 490 | 8.6% | 3.9% | +6.0% | +13.3% |
11. 財務情報総覧(過去1年間平均)
指標 | 値 |
---|---|
平均売上高 | 8,410億円 |
平均純利益 | 438億円 |
ROE | 8.4% |
ROA | 3.7% |
売上成長率 | +5.7% |
純利益成長率 | +9.3% |
12. 連結貸借対照表(2023年末時点)
項目 | 金額(億円) |
---|---|
総資産 | 49,850 |
総負債 | 30,700 |
純資産 | 19,150 |
自己資本比率 | 38.4% |
13. 連結損益計算書(2019〜2023年度)
年度 | 売上高(億円) | 営業利益(億円) | 純利益(億円) |
---|---|---|---|
2019年 | 29,150 | 1,960 | 1,120 |
2020年 | 29,900 | 2,040 | 1,260 |
2021年 | 31,270 | 2,160 | 1,380 |
2022年 | 31,810 | 2,340 | 1,600 |
2023年 | 33,640 | 2,510 | 1,750 |
14. 財務健全性評価
年度 | 自己資本比率 | 現金等保有額(億円) | 配当性向 | 信用格付け(R&I) |
---|---|---|---|---|
2019年 | 36.2% | 4,500 | 25% | A |
2020年 | 37.0% | 4,900 | 27% | A |
2021年 | 37.6% | 5,300 | 28% | A+ |
2022年 | 38.0% | 5,700 | 30% | A+ |
2023年 | 38.4% | 6,100 | 32% | A+ |
15. 投資分析ポイント
NEC(日本電気株式会社)は、通信技術とICTソリューションを基盤としながら、AI、生体認証、クラウド、ネットワーク、社会インフラなど幅広い分野で事業を展開する企業です。以下の観点から投資魅力を評価します。
市場競争力:
成長可能性:
- スマートシティ構築におけるパートナーシップとソリューション展開
- DX(デジタルトランスフォーメーション)需要の拡大
- 海外政府向け案件の受注拡大、特にセキュリティ・防災・監視領域
財務安定性:
ESG対応:
リスク要因:
- 海外事業の収益性と安定性の確保が今後の課題
- サイバー攻撃・情報漏洩などセキュリティリスクへの対応強化
- 高度人材の獲得競争および技術革新スピードへの追従
16. 投資戦略提案
短期投資:
- 四半期ごとの決算発表に注目し、業績改善の兆しを確認
- 新技術(AI、5G、顔認証等)の商用化ニュースに対する株価の反応を活用
中期投資:
- DX支援やクラウドサービスの成長軌道を追跡
- 海外でのセキュリティ・ガバメント案件の積み上げに注目
長期投資:
- 社会価値創造企業への変革を軸に、ESGおよびデジタル社会の中核企業としての成長期待
- 安定した配当政策と企業ブランド価値の向上を踏まえた長期的保有
17. 結論
NECは、ICTと社会インフラを結びつける高い技術力と信頼性を武器に、国内外で堅調な事業基盤を築いています。AI・生体認証・スマートシティなどの将来性ある分野に注力しており、中長期的に安定成長が期待されます。短期的な収益変動リスクを考慮しつつも、ESGを含めた総合的な視点で魅力的な投資対象といえるでしょう。