1. 企業概要
- 社名: 株式会社豊田自動織機(Toyota Industries Corporation)
- 設立年: 1926年(創業者:豊田佐吉)
- 本社所在地: 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地
- 業界: 輸送用機器、産業機械、繊維機械
- 主要サービス: 自動車部品(コンプレッサー等)、フォークリフト、繊維機械、カーエアコン用コンプレッサー、電子機器等
- グローバル展開: アジア、欧州、北米など世界中に生産・販売拠点を展開
- 上場: 東京証券取引所プライム市場(証券コード:6201)
2. ミッション & ビジョン
- ミッション: 「モノづくりを通じて社会の発展に貢献する」
- ビジョン: 環境と調和した持続可能な製品を世界に提供し、未来のモビリティ社会を支えるリーディングカンパニーを目指す
- コアバリュー: 現地現物、改善、尊重、誠実さ、品質へのこだわり
3. 会社沿革
- 1926年: 豊田佐吉によって自動織機の製造を目的に創業
- 1933年: 自動車部門を分離(後のトヨタ自動車)
- 1956年: フォークリフトの製造・販売開始
- 1990年代〜: 海外に製造・販売拠点を拡大
- 2000年以降: カーエアコン用コンプレッサーで世界トップシェアを獲得
- 現在: トヨタグループの中核企業として産業・自動車分野の両面でグローバルに事業を展開
4. 経営陣および従業員情報
5. ビジネスセグメント
- 自動車部品: コンプレッサー、電動車向けモーター、インバーター、電子制御ユニットなど
- 産業車両: トヨタL&Fブランドによるフォークリフト(世界シェアトップ)
- 物流ソリューション: 自動倉庫システム、搬送ロボット、倉庫管理ソフトウェア等
- 繊維機械: 世界的に高い技術力を持つ織機、紡績機の製造・販売
6. 競争環境分析
- 主要競合: 小松製作所、三菱ロジスネクスト、ダイフク、ボッシュ(部品)など
- 競争優位性:
- 課題:
- 電動化対応と脱炭素対応の加速
- 海外人材確保と多国籍チームのマネジメント
- 原材料価格の変動とサプライチェーンの安定化
7. 技術およびイノベーション戦略
- 重点領域: 電動化技術(モーター、インバーター)、水素関連技術、AI物流制御
- 開発拠点: 豊田技術開発センターを中心にグローバル開発拠点を展開
- 研究連携: 大学・研究機関との共同研究、トヨタグループ技術連携
- デジタル化: 製造現場のスマートファクトリー化、IoTによる保守管理の効率化
8. リスク分析
- 経済リスク: 為替変動、金利上昇、景気後退の影響
- 環境規制: CO2排出削減規制、リサイクル法対応などの強化
- 供給網リスク: 半導体不足、物流遅延、部材調達の不安定化
- 競争リスク: 中国・インド企業との価格競争や技術革新のスピード
9. 昨年の実績(2023年度)
- 売上高: 3兆1,895億円(前年比 +10.5%)
- 営業利益: 2,070億円(前年比 +23.2%)
- 純利益: 1,340億円(前年比 +19.4%)
- 営業利益率: 6.5%
- 純利益率: 4.2%
- 主な要因:
- フォークリフトおよび物流ソリューション事業の堅調な成長
- 自動車部品の受注増加と価格転嫁の進展
- 原材料価格上昇に対するコスト吸収努力の成果
10. 主要財務指標(四半期別・2023年度)
四半期 | 売上高(億円) | 純利益(億円) | ROE | ROA | 売上成長率 | 純利益成長率 |
---|---|---|---|---|---|---|
Q1 | 7,500 | 300 | 6.8% | 3.4% | +8.5% | +12.0% |
Q2 | 8,100 | 340 | 7.0% | 3.6% | +10.2% | +15.1% |
Q3 | 8,200 | 345 | 7.2% | 3.8% | +10.8% | +16.4% |
Q4 | 8,095 | 355 | 7.3% | 3.9% | +12.4% | +17.5% |
11. 財務情報総覧(過去1年間平均)
指標 | 値 |
---|---|
平均売上高 | 8,000億円 |
平均純利益 | 335億円 |
ROE | 7.1% |
ROA | 3.7% |
売上成長率 | +10.5% |
純利益成長率 | +15.3% |
12. 連結貸借対照表(2023年末時点)
項目 | 金額(億円) |
---|---|
総資産 | 48,200 |
総負債 | 27,300 |
純資産 | 20,900 |
自己資本比率 | 43.4% |
13. 連結損益計算書(2019〜2023年度)
年度 | 売上高(億円) | 営業利益(億円) | 純利益(億円) |
---|---|---|---|
2019年 | 22,050 | 1,550 | 1,050 |
2020年 | 20,200 | 1,230 | 850 |
2021年 | 24,700 | 1,780 | 1,230 |
2022年 | 28,860 | 1,680 | 1,122 |
2023年 | 31,895 | 2,070 | 1,340 |
14. 財務健全性評価
年度 | 自己資本比率 | 現金等保有額(億円) | 配当性向 | 信用格付け(R&I) |
---|---|---|---|---|
2019年 | 42.1% | 2,500 | 28% | A+ |
2020年 | 41.5% | 2,700 | 30% | A+ |
2021年 | 42.7% | 2,850 | 33% | AA- |
2022年 | 43.0% | 3,100 | 35% | AA |
2023年 | 43.4% | 3,200 | 36% | AA |
15. 投資分析ポイント
株式会社豊田自動織機は、トヨタグループの中核企業として、自動車部品から産業機器、物流ソリューションまで多岐にわたる事業を展開しています。以下の観点から投資価値を評価します。
市場競争力:
成長可能性:
- 自動車の電動化・自動化に対応した部品需要の増加
- 世界的な物流需要の拡大によるフォークリフト・物流ソリューション事業の拡張
- AI・IoTを活用したスマート工場・自動倉庫などの新規領域での成長期待
財務安定性:
ESG対応:
リスク要因:
- 世界経済の変動、為替リスク
- 原材料価格の上昇や部品供給の遅延
- 技術革新のスピードと競合との差別化
16. 投資戦略提案
短期投資:
- 四半期ごとの業績発表と為替動向に注目
- フォークリフト受注状況や設備投資の動向による株価反応を活用
中期投資:
長期投資:
17. 結論
豊田自動織機は、複数の事業セグメントで安定した収益基盤を築きながら、成長市場での技術開発と海外展開を積極的に進めています。特に環境・物流・電動化分野においては、今後の世界的な需要拡大が見込まれており、長期的な投資先として高い魅力を持つ企業といえるでしょう。