1. 企業概要
- 設立年: 1999年(エクソンとモービルの合併により誕生)
- 本社所在地: アメリカ合衆国 テキサス州 アービング
- 業界: エネルギー(石油・天然ガス)
- 主要サービス: 石油・天然ガスの探査・生産・精製・販売、化学製品製造
- 市場シェア: 世界最大級の石油・ガス会社の一つ
- 主要顧客: 一般消費者、産業界、航空・運輸・エネルギー企業
- 上場: NYSE(ティッカー: XOM)
2. ミッション & ビジョン
- ミッション: 世界のエネルギー需要を安全・責任ある方法で満たす
- ビジョン: 技術革新と環境配慮を通じて、持続可能なエネルギーの未来をリードする
- コアバリュー: 安全性、誠実性、技術革新、環境保護、コスト効率
3. 会社沿革
- 1870年: ジョン・D・ロックフェラーによりStandard Oil設立
- 1911年: 反トラスト法によりStandard Oilが34社に分割
- 1999年: エクソンとモービルが合併し、Exxon Mobil Corporation設立
- 2000年代: 世界中で探鉱・生産・精製能力を強化
- 2010年代: LNGやシェール開発、再生可能エネルギー投資に注力
- 2020年代: 脱炭素技術(CCS、バイオ燃料)への転換を加速
4. 経営陣および従業員情報
5. ビジネスセグメント
- 上流部門(Upstream): 原油・天然ガスの探査、掘削、生産
- 中流部門(Midstream): 輸送、パイプライン、貯蔵
- 下流部門(Downstream): 精製、燃料・潤滑油の販売、石油製品供給
- 化学品部門: プラスチック、合成樹脂、工業用化学品の製造・販売
- 低炭素ソリューション: カーボンキャプチャー(CCS)、水素、再生可能燃料
6. 競争環境分析
- 主要競合: シェブロン、BP、シェル、トタルエナジーズ、アラムコ
- 競争優位性:
- グローバルな探鉱・精製・販売ネットワーク
- 大規模かつ統合型のオペレーションによる効率性
- 技術力と研究開発体制(ExxonMobil Research and Engineering)
- 課題:
7. 技術およびイノベーション戦略
主要技術:
- 高効率掘削・生産技術(深海、非在来型資源)
- CCUS(カーボンキャプチャー・利用・貯留)
- 高度な化学触媒・分離技術
研究開発の方向性:
8. リスク分析
- 経済リスク: 世界経済減速、原油価格暴落、為替変動
- 規制リスク: 環境規制の強化、炭素税・排出量取引制度の導入
- 社会的リスク: ESG格付け低下、世論・投資家からの批判強化
- 技術リスク: 脱炭素競争における先行他社との技術格差
- 地政学リスク: 資源国での政治的不安定、輸出入制限
9. 昨年の実績(2023年)
- 売上高: 3,479億ドル
- 営業利益: 811億ドル
- 純利益: 364億ドル
- 営業利益率: 約23.3%
- 純利益率: 約10.5%
- 主な成果:
10. 主要財務指標(四半期別・2023年)
四半期 | 売上高(億ドル) | 純利益(億ドル) | ROE | ROA | 売上成長率 | 純利益成長率 |
---|---|---|---|---|---|---|
Q1 | 868 | 112 | 24.3% | 9.8% | -4.2% | -31.9% |
Q2 | 828 | 79 | 17.2% | 7.3% | -27.3% | -55.6% |
Q3 | 900 | 96 | 20.5% | 8.2% | +9.1% | +21.5% |
Q4 | 883 | 77 | 15.8% | 6.7% | -2.0% | -19.8% |
11. 財務情報総覧(過去1年間平均)
指標 | 値 |
---|---|
平均売上高 | 869.75億ドル |
平均純利益 | 91億ドル |
ROE | 19.5% |
ROA | 8.0% |
売上成長率 | -6.1% |
純利益成長率 | -21.4% |
12. 連結貸借対照表(5年分)
年度 | 総資産(億ドル) | 総負債(億ドル) | 純資産(億ドル) |
---|---|---|---|
2019年 | 3,624 | 1,652 | 1,972 |
2020年 | 3,403 | 1,693 | 1,710 |
2021年 | 3,388 | 1,559 | 1,829 |
2022年 | 3,468 | 1,530 | 1,938 |
2023年 | 3,489 | 1,487 | 2,002 |
13. 連結損益計算書(5年分)
年度 | 売上高(億ドル) | 営業利益(億ドル) | 純利益(億ドル) |
---|---|---|---|
2019年 | 2,644 | 324 | 143 |
2020年 | 1,814 | -18 | -224 |
2021年 | 2,778 | 261 | 230 |
2022年 | 4,139 | 977 | 556 |
2023年 | 3,479 | 811 | 364 |
14. 財務健全性評価
年度 | 負債比率 (%) | 自己資本比率 (%) | 現金等保有額(億ドル) | 信用格付け |
---|---|---|---|---|
2019年 | 45.6% | 54.4% | 39.3 | AA |
2020年 | 49.7% | 50.3% | 46.3 | AA |
2021年 | 46.0% | 54.0% | 48.0 | AA |
2022年 | 44.1% | 55.9% | 29.7 | AA |
2023年 | 42.6% | 57.4% | 31.5 | AA |
15. 投資分析ポイント
エクソンモービル(Exxon Mobil Corporation)は、世界有数のエネルギー企業として、堅固な事業基盤と豊富な資源を持つ企業であり、投資先としての注目度が高い。以下に、投資判断における主要な観点を整理する。
市場競争力:
成長可能性:
財務安定性:
グローバル展開:
- 約60か国以上にわたる事業拠点と多様な資源ポートフォリオ
- 米国、カナダ、中東、アフリカ、アジア太平洋地域での資源展開
ESG・技術革新:
- CCUS(カーボン回収・貯留)技術を活用した脱炭素戦略
- 水素エネルギー、バイオ燃料など次世代エネルギー分野への研究開発
- 環境・安全への配慮を反映したESG報告書の透明性向上
リスク要因:
16. 投資戦略提案
短期投資戦略:
中期投資戦略:
長期投資戦略:
- 世界のエネルギー需要に対する対応力と資源確保能力に基づく長期的信頼性
- 長期的な配当インカム投資先としての安定性と魅力
ESG投資戦略:
- カーボンニュートラル推進と排出削減戦略の整合性を見極めたESGポートフォリオへの組み入れ
- 環境投資の進捗開示を通じたESG評価向上への期待
17. 結論
エクソンモービルは、従来型エネルギー分野における圧倒的な資源力と技術力を持ちつつ、次世代エネルギーへの転換も積極的に進めているグローバル・メジャーである。
中長期的には、脱炭素社会への過渡期における重要プレイヤーとして、持続可能性と収益性を両立し得る数少ない企業の一つである。収益の安定性と配当継続性から、バリュー志向およびESG志向の双方の投資家にとって魅力的な銘柄である。